国際カーボンクレジット市場の2025年第3四半期の取引量が、前年同期比で40%増加したことが業界団体の調査で明らかになった。この急成長の背景には、AI技術を活用したカーボンクレジットの品質評価システムの普及があり、市場の透明性と信頼性が大幅に向上したことが要因とされている。 世界カーボン市場協会によると、2025年1月から9月までの累計取引量は約8億トンCO2換算に達し、取引総額は950億ドルに上った。特にボランタリー市場での取引が活発で、企業のESG投資への関心の高まりを反映している。コンプライアンス市場も堅調に推移しており、欧州排出量取引制度(EU ETS)での取引価格は1トンあたり85ユーロと過去最高水準を記録した。 AI活用の品質評価システムは、衛星データと機械学習を組み合わせて、森林保全や再生可能エネルギープロジェクトの実際のCO2削減効果をリアルタイムで検証する。このシステムにより、従来問題視されていた「グリーンウォッシュ」や二重計上のリスクが大幅に低減され、企業や投資家の信頼が高まっている。 主要格付け機関は「AI技術の導入により、カーボンクレジット市場の成熟度が飛躍的に向上した」と評価している。今後、ブロックチェーン技術との統合も進められ、2026年には完全デジタル化された取引プラットフォームが複数立ち上がる予定だ。市場関係者は「2030年までに世界のカーボンクレジット市場は5,000億ドル規模に達する」と予測しており、気候テック投資の中核的な分野として注目が集まっている。
世界カーボンクレジット市場、取引量が前年比40%増加 AI活用の品質評価が普及
- 記事提供
- グリーンファイナンス・タイムズ
- 公開日
- 2025-11-07