韓国の国際炭素市場GVCMが2027年に始動、ブロックチェーンで取引の信頼性を高める

韓国の国際炭素市場GVCMが2027年に始動、ブロックチェーンで取引の信頼性を高める

ニュースの概要

韓国政府は、海外で実施した温室効果ガスの削減事業から生まれるカーボンクレジットを国際的に売買する「グローバル高信頼炭素市場(GVCM)」を、2027年に本格稼働させる方針を示した。クレジットは二種類に分かれる。事業を行う相手国が国際移転を承認したものは「GVCM A」、承認のないものは「GVCM NA」と呼ばれる。前者は投資国の国別削減目標、国際航空のCORSIA対応、企業のESG活動への利用が想定され、後者は主に事業実施国での環境・社会面の貢献に使われる。取引の記録にはブロックチェーンが用いられ、市場の信頼性を高める狙いがある。

引用元: 韓国政府、2027年に国際炭素市場を始動へ ブロックチェーン活用(Korea Bizwire)

分析・見解

二重計上を防ぐため、承認の有無でクレジットを分けた

炭素クレジットの最大の弱点は、同じ削減量が二重に数えられる恐れがあることだ。たとえば韓国企業が東南アジアで森林保全を行い、その削減分を韓国が自国の目標に使いながら、現地の政府も自国の成果として計上すれば、地球全体では一度しか減っていないのに二度分の成果が主張される。GVCMはクレジットを「A」と「NA」に分けることで、この問題に正面から答えようとしている。Aは相手国政府が国際移転を認め、帳簿上の調整を済ませたものだ。NAは成果を相手国に残し、他国の目標には使わない。用途を最初から分けておく発想である。

ブロックチェーンが守るのは履歴の正確さで、削減量の水増しではない

ブロックチェーン(=書き換えが極めて難しい分散型の台帳)は、発行、移転、償却(=使用済みにすること)の履歴を一本の線でつなぐ。ここで大切なのは、技術が削減効果そのものを保証するわけではない点だ。台帳が正確でも、入力された削減量が過大なら意味がない。この仕組みが防げるのは「同じクレジットの二重売り」であり、「削減量の水増し」は別の審査で防ぐ必要がある。過去に自主的な炭素市場で森林クレジットの過大評価が報じられ、価格が大きく下がった経緯を考えると、第三者検証の厳しさこそが市場の評判を決めるだろう。

日本のJCMと比べると見えてくる韓国の狙いと買い手の広げ方

日本は二国間クレジット制度(JCM)で、すでに二十か国以上と協力している。政府間の合意に基づく点は、韓国のAに近い。一方、韓国は取引の場を国際的に開き、民間同士の売買まで見据えている印象が強い。国別目標への活用に加え、国際航空のCORSIA(=国際線の排出増加を相殺する国連機関の制度)にも使えるようにする点は、買い手の層を広げる工夫だ。CORSIAは2027年から義務の段階に入るため、承認済みで質の高いクレジットへの需要は確実に高まる。

見落とされがちなNAクレジットが市場の入口になる可能性

注目が集まりやすいのはAだが、NAの役割も見逃せない。相手国で調理用コンロの改善や植林の成果を残すNAは、国別目標の計算には入らない代わりに、現地の合意を取りやすい。承認手続きに時間がかかる国でも、まず事業を動かせる。いわば入口の商品であり、実績を積んだ後にAへ切り替える道があれば、供給量は大きく増えるはずだ。ただし切り替えの条件が曖昧だと、買い手は価格を付けにくい。ここが制度設計の勝負どころになる。

ビジネスへの影響

買う側は使い道を決めてから調達方針を分ける

まず、自社がクレジットを何のために使うのかを決める必要がある。国の目標への貢献を示したい、航空関連の義務に備えたいといった目的なら、Aが候補になる。一方、ESG報告で現地への貢献を示したいだけなら、価格が抑えられるNAでも目的を満たせる場合がある。用途を決めずに安いものを買い集めると、後で使えない在庫になりかねない。調達の前に、開示基準や取引先の要求と照らし合わせた用途表を作っておきたい。

売る側は相手国の承認を事業計画に組み込む

海外で削減事業を持つ企業にとって、相手国政府の承認は価値を左右する要素だ。承認の有無で区分が変わり、売却先も価格も変わる。計画の段階から現地政府との協議日程を見込み、承認に半年から一年かかる前提で資金繰りを組むのが現実的である。測定データの保管方法や第三者検証の記録を整えておけば、台帳への登録や審査も早く進む。

市場開始までの約一年でできる準備を進める

開始まで約一年ある。今のうちに、社内で使うクレジットの量、予算、担当部署を整理したい。参加するかどうかは詳細ルールを見てから決めてよいが、情報収集は止めない方がよい。JCMとの併用や価格比較の材料にもなる。契約書には、無効と判定された場合の差し替え条項を入れておくと損失を抑えられる。まず小さな量で試し、台帳の使い勝手と検証の厳しさを確かめる進め方を勧める。

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